今回は小売業の「チラシ自粛」についてです。
前回お話したように、特定のセール日に最大の集客を行い売上げを作る特売商法
は、3密回避という社会の要請で行えなくなっています。それによる「チラシ自
粛」なのですが、正確には「自粛」ではなく「廃止」だと思われます。
そもそも折込チラシとは、集客の最大化を引き起こす装置です。しかしながら、
現在はその「集客の最大化」を起こしてはいけない状況にあるので、折込チラシ
は使えないのです。自粛とは「自ら進んで行いや態度をつつしむこと」で、いず
れ行いを再開する可能性を残した言葉です。
では、折込チラシはいずれ行うことになるのでしょうか?
週2回を1回にして? 隔週に1回で? はたまた月1回程度で?
回数は問題ではないのです。一度に多くの集客を行うことがマズイのです。
ならば、1回の折込枚数を25,000枚から10,000枚にしますか?
それで3密は回避できますか?
8,500枚なら大丈夫と言えますか?
商圏のどこに入れますか?
というように、マス広告である折込チラシを細分化して使うことには無理があり
そもそも本来の使い方でない以上本来の効果も期待出来ません。
これでも折込チラシをやりたいと思うのは、折込会社以外ないでしょう。
「顧客は折込チラシを望んでいます」という調査結果を出している折込会社が
ありましが・・・自社や同業者が望んでいることの間違いでしょう。
顧客は「情報」を望んでいるのです。
そして、このコロナ禍において「折込チラシ」はその手段から脱落したのです。
新聞の購読者は年々減少し、今では60歳以上が主な購読者になっている新聞で
折込チラシを望む客も年々減少し一部高齢者に限定されています。
更に、昨今も佐賀新聞の押し紙裁判で押し紙が認定されたように、そもそも折込
部数には配布されず廃棄される部数が何割もあり、費用対効果という面からも広
告主が敬遠し始めています。
その折込チラシをこのコロナ禍で率先して使う企業があるのでしょうか。
折込会社は、本当に身勝手だと言わざるを得ないと思います。
今、多くの企業がコロナ禍に適した新しいビジネスモデルを模索しています。
同時にそれに合わせて広告も変わっていく時なのです。
小売業が3密を起こさない集客で、売上げを上げなければいけなくなった現在、
その集客方法も一新されます。もう折込チラシのドッカン集客で売上げを上げる
ことは許されないのです。
「折込チラシの自粛」が解禁された時は、折込チラシが小売業広告の主戦場から
退場した時です。
折込チラシに変わる集客方法がコロナ禍の当たり前広告に成り上がり、折込チラ
シは月に1回程度の、新たな広告への移行期で使われる広告になっていくでしょ
う。